「法然と親鸞」公演に向けて
Posted in俳優・嵐さん、演出家・橋本さん訪米
法然上人800回忌、親鸞聖人750回忌を記念した舞台「法然と親鸞」を公演している前進座(東京)は、2010年秋のサンフランシスコ、ロサンゼルス、ハワイでの公演を目指している。演出家の橋本英治さんと親鸞を演じている俳優、嵐圭史さんは先ごろ訪米、公演実現に向けて地元での協力を呼び掛けた。
「法然と親鸞」は浄土宗の開祖、法然とその弟子で浄土真宗の開祖、親鸞をめぐる物語。9歳で父親を殺された法然は、父の遺言であだうちを断念し、比叡山に入山する。43歳の時に下山、当時は貴族のものであった仏教を民衆に説いた。親鸞は法然を訪ね弟子になるが、やがて弾圧を受け、法然は土佐へ、親鸞は越後に流される。しかし、その逆境をむしろ好機ととらえ、それぞれの地で民衆に開かれた教えを広めていく姿を追う。さらに親鸞の、当時では型破りな妻帯、恵信尼(えしんに)との結婚も、物語の重要な要素として、ドラマチックに描かれる。同舞台は昨年、京都で初日を迎え、名古屋、中国地方、九州地方を回り、来年には大阪、東京、2010年春に東北、北海道を回り日本全国での公演を終える。
「縦糸は法然と親鸞の子弟愛、横糸は親鸞と恵信尼の夫婦愛の色合いを出している」と親鸞役の嵐さんはこの物語の特色を語る。「宗教、歴史的な要素がありながら、ドラマですから、娯楽作品として楽しく、分かりやすくしないといけない。前半のノンフィクションの部分はきっちり抑えながらも、後半の親鸞と恵信尼がどう出会ったかというのは記録にないから、フィクションとして自由にできる。『ロマンチックに雪がさんさんと降る印象的なラブストーリーに仕上げてくれ』と演出家にもお願いした」と、にこやかに笑う。
「親鸞は調べれば調べるほど、変わった方だなあという印象を抱いた」という演出家の橋本さん。だからこそ「偶像としてでなく、人間として、民衆の中にどう入っていったか」をテーマに据え「人間としての法然と親鸞の描き方」にこだわったという。
2011年には創設80周年を迎える前進座は、歌舞伎の技術、伝統を踏まえながら、歴史、社会、現代劇を公演。これまでにもヨーロッパ、中国、インドネシアでの海外公演の経験もある。
海外での公演は、経済的、時間的に大きな負担が強いられるだけなく、「スタッフ含めて、みんなの情熱と志がないとできない」と嵐さん。日本公演でも募金活動を展開、観客からの熱い支援も受けている。すでにロサンゼルス、SFでは地元で好反応を得ているという橋本さんは、「宗派を超え、日系社会の皆さんにも広くサポートをお願いしたい」と呼び掛けた。
同席した小杭好臣米国仏教団総長は「大衆の中に入っていった、日本が生んだ偉大なる宗教家。その人生を知ってほしい」と公演に賛同した。

