阪神大震災復興から学ぶ SF総領事館で安全対策協議
Posted in 在サンフランシスコ日本国総領事館は3日、日系関連団体の代表らを集め、第9回海外安全対策連絡協議会を催した。神戸の復興支援コンサート実行委員会で活動する高橋哲(さとし)さんと辻信一さんが「自然災害に供えて、阪神淡路大震災から学ぶ」をテーマに講演したほか、当地での災害時の在米邦人の保護のための連携に関する意見交換を行った。
◯ ◯
阪神淡路大震災後、インフラの整備などハード面の復興の報道に比べ、メンタル面のケアやコミュニティー活動による復興支援は一般にあまり知られていない、と高橋さんは言う。
高橋さんは自らも被災しながら、臨床心理士として被災者の心のケアの活動を展開。こうした活動から得た経験とノウハウに基づき、新潟県中越沖地震はじめ、スマトラ島沖地震、四川大地震の被災地で心のケアの治療を行っている。
当時、事故や災害によって起こる、心的外傷後ストレス障害(PTSD=Post-traumatic stress disorder)が一般に広く知られておらず、勧誘目的の宗教団体と勘違いされ治療を拒否されたという逸話から、PTSDの具体的な症状、判定基準などにも言及した。
高橋さんは、「災害が起きた地へ行き、活動するノウハウはある。しかし、呼んでもらわなくては行くことができない。今必要なのは、世界的なつながりを築くこと」と話した。
震災では、死者6437人、負傷者4万3792人、全半壊住家約25万戸に上った。「何とか心の傷をいやしたい」と考えた辻さんは、町づくりのコンサルタントとして震災後の地域再開発、「ガレキに花を咲かせましょう」の運営に携わり、ボランティアベースによる地域活動に参加、現在も続けている。
これまで、NPOやボランティア活動を研究するために訪米した経験のある辻さんは、「これまでの『行政が決めNPOがやる』という流れから、こちらが決め行政にやってもらうという対等の関係を築いている」といい、「やっとアメリカのおしりが見えてきた」と笑顔を見せた。
また高橋さん、辻さんは共に、詩を募集し、女優の竹下景子さんに朗読してもらう「復興支援コンサート」の実行委員も務めている。今回は4日催されたジャパンクラブ、北加日米会主催のワークショップに参加するため渡米した。
◯ ◯
今回で9回目を迎えた同協議会は、これまでも緊急時の在米邦人保護、また情報伝達をいかに効率的に行うかを主題に会合が持たれてきた。
現実的には、在留届が未提出の長期滞在者、短期の観光、留学が目的の渡米者の安否を完全に把握するのは難しいという段階。SF総領事館の小川康弘領事は「災害時のメンタル面のケアというのは、基本の安否確認の先にあることで、まだ手のついていないところ」だが、考えておかなくてはいけないこと、と話す。
小川領事はこれまでの勤務地、ベトナム、フィリピン、インド、インドネシアと比較し、アメリカは英語が通じること、また政治情勢が安定していることなどを挙げ、災害時の外務省の方針である「自助努力」が成り立ちやすいと話す。
「できる部分は自分でして、できない部分を助ける。ですが、日本人は『自分はどんなことがあっても助けてもらえるだろう』という意識がありますね。しかし、そのためにも、在留届の提出してもらわなければ、こちらから実態を把握しようがないわけです」と、在留届の重要性を訴えた。
※
現在、SF総領事館では、伝言ダイヤルを使った緊急時の「全米カナダ邦人安否確認システム」、ホームページ上から登録できる「緊急メール配信サービス」といった緊急、災害時に利用できるサービスも提供している。
詳細、また在留届、各種手続きに関してはwww.sf.us.emb-japan.go.jp/top.htmまたは☎(415)777—3533まで。
